家づくりやまちづくりのプロである建築家が都心から八王子市の高尾エリアに引っ越してみたので建築家ならでは視点で高尾の魅力を伝えてみたいと思います。
特に、新型コロナウイルスの影響で都心よりも郊外に居を構えることが人気になってきているので、高尾の暮らしが気になっている人は参考にしてもらいたいです。
建築家が高尾の魅力をお伝え
建築家として家づくりやまちづくりに携わってきた自分が高尾に引っ越して思ったことをお伝えします。
建築家の腕がなる街「高尾」
まず、高尾に引っ越す際に考えたのは、当然自分の住まい。
その時に思ったのはこの高尾というまちは非常に建築家の腕がなると言うこと。
建築家として高尾に家を設計するのはとても楽しかったです。
人が多くの時間を過ごす住まいは色々と考えなくてはいけないことがありますが、外部的な条件というのは住宅の設計にかなり影響します。
考えてみて欲しいのですが、海辺に建つ家で海に向かって窓を設けない家を建てますか?
高尾地域はすぐそばに高尾山をはじめとした山が見えます。
坂も多く、山が良く見える場所、都心のスカイツリーまで見える場所、すぐ近くに里山がある場所、川遊びができるような小川がある場所、本当に豊かな自然環境です。
高尾山からスカイツリーが見えることは有名ですが、実は八王子駅付近の坂の上あたりでも新宿のビル群やスカイツリーが見えるんですよ。夜景もきれいです。
これらの外部条件をしっかりと活かすことができるのでまさに建築家の腕の見せ所満載なんです。
蛍の生息する小川の近くであればホタルの生態に影響しないように配慮しつつ、夏は川のせせらぎを楽しめる住宅を
桜の名所の近くであれば屋上に作ったテラスから春は満開の桜を楽しめる住宅を
都内近郊の均一化された住宅地よりも自然が多く残る高尾ならではの家を考えることは建築家としてとても楽しい体験でした。
意外と田舎じゃない八王子
八王子と聞くと東京の中でも田舎、と言った印象があるかと思います。
何を持って田舎と考えるかは人それぞれですが、その考えは合っているようで間違ってもいます。
まず都会、田舎の論点となりやすい駅前について見て行きましょう。
駅の大きさを示す指標の一つである乗降客数ですが、2020年度の記録では八王子駅は一日平均「58,760人」です。
これはJR東日本の管轄駅内では55位
JR東日本のHPより
1位の新宿は「477,073人」と比べると八王子は少ないように感じますが、そもそも新宿駅の乗降客数は世界一位です。
では同じ中央線で見てみると多摩地域のターミナル駅の立川駅は13位で「122,033人」、吉祥寺駅は23位で「99,319人」で八王子より上位です。
国立駅は92位で「38,513人」、高円寺駅は94位で「38,249人」です。
ここからは人数は割愛しますが、横浜市の桜木町駅が61位、新横浜駅が82位、山手線の駅でも御徒町駅が63位、原宿駅が83位と誰もが知る駅であっても八王子駅より利用者が少ない駅も多いです。
人口で考えても八王子市は57万人を超える人口を有しています。
23区のベットタウンである足立区が69万人、杉並区が56万人ですし、千葉県の船橋市が61万人、柏市が40万人、栃木県の宇都宮市が51万人、石川県の金沢市が45万人などと比べても八王子市は全国的に人口の多い都市であることがわかります。
都心までの時間(距離)についても、高尾駅から新宿駅まで45分です。
これは新宿駅から埼玉方面なら川越、春日部らへん、神奈川方面なら横浜市の戸塚あたりまでの距離と一緒です。
千葉方面だと千葉駅から東京駅くらいの距離ですね。
やや遠い距離ではありますが、十分都心のベットタウンともいえる距離でしょう。
田舎と言っているのはあくまでも自虐ネタに近いような感じなんです。
「地震」などの災害に強い
高尾エリア(八王子市内)は関東ローム層という安定した地盤で、高尾山などの山も近いことがあり台地が多いです。
こういった地域は地震に対して最も優れた地盤とされており、実際に八王子で建物を設計した時に地盤が軟弱で悩まされるようなことはほとんどありません。
同じ関東エリアでも海が近い地域では砂質土と言われる砂がメインの地盤の場合もあり、これは液状化現象が起きやすい地盤です。
また、都心の埋め立て地などはその危険性は言うまでもないでしょう。
ただし、山の近くということもあり崖地などでは土砂災害が起こる危険性はあるのでポイントポイントでは注意が必要な土地もあります。
地震以外の災害では水害が近年話題になりますが、山の近くの八王子では大規模な川の氾濫などはあり得ません。
ただし、2019年の台風では浅川の一部が氾濫しているように、小川が多いため窪地になっている地域では氾濫のリスクはあります。
それでも川の上流であるため氾濫が治まるのも早く、江戸川区や江東区のような下流域で河川が氾濫すると3週間も水が引かないようなことがあるので、こういった恐れは無いでしょう。
後は風害
近年は竜巻のような風による被害も各地で発生していますが、こういった風の被害は何も障害物が無い広い平野で起こりやすいので、山が近い高尾エリアでは可能性は低いと考えられます。
ただし、こちらも過去に茨城県の筑波山の麓で竜巻が発生しているので、山が近くに合っても可能性は0では無いでしょう。
つくばの時は関東平野で竜巻が発生し筑波山にぶつかって消滅していますが・・・
住宅建設費用が安い
あまりこの話を書くとハウスメーカーなどから怒られてしまうかもしれませんが、実は八王子付近には家づくりに欠かせないコンクリート工場や廃棄物処理場などが多いです。
八王子付近の例えば立川や国分寺と言ったエリアで建築工事をする場合、だいたい材料は八王子から運搬してきます。
そのため、運搬費用が安いんです。
実際には微々たるものですが、交渉次第では値引きに応じてくれるなど、建設費が安くなる可能性があります。
他に、職人さんなど工事業者が八王子市内に多いというのも利点ですね。
広い土地、広い家が手に入りやすい
こちらは高尾に限った話ではありませんが、郊外に行けば行くほど広い土地、広い家が同価格で手にはいります。
田舎暮らしを考えている人の憧れでもある、芝生の庭やアウトドアグッズやゴルフクラブなどを仕舞って置ける倉庫や土間スペースも設置可能でしょう。
ペット専用のスペースを設けるのもいいかもしれません。
特に高尾エリアはアウトドアが趣味の人が多いので、外部で用具を洗えるようなシンクや大きな荷物を保存して置けるスペースがあるのはいいでしょう。
高尾のまちづくり
最後に高尾エリアのまちづくりについて注目する点を紹介します。
自治体のまちづくりに置いて最上位の計画が都市計画マスタープランというものです。
八王子市のものはこちら
マスタープランを見るのも面白いですが、これには大まかな計画しか書いていません。
これよりも具体的に決められているのが地区計画や建築協定と言ったものです。
地区計画では高尾周辺では、美山地区、南浅川地区、館地区、めじろ台地区について最低敷地面積の制限を設けています。
都市部のように50㎡とか60㎡といった小さな敷地で家を建てることを禁止しています。
そのため、こういった地区では一軒一軒の家が大きく、敷地にゆとりもあるため庭も広いです。まちを歩いていても非常に楽しめます。
庭には桜やバラなどを植えているお宅も多く、季節を感じることができますし、高尾山にやってくる鳥たちが街に降りてくることも多いです。
他には、高級住宅街のみなみ野エリアでは建築協定が定められており、建物の高さや色にまで規制があります。
こういった制限により美しい街並みが出来上がるんですね。
高尾エリアは山の麓で、元々のんびりとした雰囲気のある地域ですが、こういった規制によりまちなみ自体もゆとりある空間となるよう誘導されています。
まとめ
コロナウイルスによりテレワークが普及するなどして、更に注目されている八王子や高尾エリア
中々移住する勇気が無い人も多いかと思いますが、建築家ならではの視点から地域の魅力について書いてみましたので参考にしてください。
コメント
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